建物内の部屋の配置や機能区分のこと
間取りは通路や扉の位置など、居住空間の設計計画を示す図面や概念のことを指します。家づくりを成功させるには間取りの存在が必要不可欠です。
具体的には、リビングルーム・ダイニングルーム・寝室・キッチン・バスルームなどの生活空間の配置や、それぞれの部屋のサイズ、窓や扉の位置、家具の配置計画などが含まれます。
間取りは住宅購入や家づくりの際に、家族構成や生活習慣、将来のライフステージの変化などを考慮して決定され、住まいの快適性や機能性、価値を大きく左右する重要なファクターとなります。
実は、家づくりをした人の86%が、後悔をしている現実があります。
最近の間取りは広がりのあるリビングを好む方が増えています。
天井が高くなると同じ面積でも広く感じます。そんなリビングにソファをおいて、大画面テレビでクリアな映像を楽しみたい…
間取りを考え始めると夢はどんどん広がりますね。
ライフスタイルや希望を入れて、完璧に出来上がった!と思ったお家・お部屋でも、暮らし始めてみると、予想外の不都合が出てきてしまうことがあります。
間取りのチェックで大切なことは、実際の生活イメージをそのプランに重ねて検討することです。
具体的には、
「リビングルームのソファーを置くことを前提に間取りをつくればよかった」
「ダイニングテーブルを置くスペースが狭かった」
「リビングのドアを開けると、玄関から食卓が丸見え・・・」
「コンセントや収納の大きさなど住み始めて気がつくことが多かった」などなど。
失敗したと後悔しても簡単には直せないことばかりです。
「ちゃんと打合せをすればそんな失敗は無いのでは?」と思った方もいるかもしれません。
でも恐ろしいことに、よくある間取りの失敗なのです…。
プロが作ったのだから!と安心してはいけません。
いろいろな視点で、間取りチェックをしてみましょう。
▼部屋の配置に気を付ける!
隣の家の視線や音が気になるという失敗は、どの部屋をどの位置に置くかという配置の失敗が原因です。隣の家の窓や玄関の位置、太陽の光が入る場所、風が気持ちよく通る場所を考えて、部屋の位置や窓の位置を計画することが大切です。
配置計画を決める場合、どの場所が一番環境が良くて、どこが外からの視線が気になる場所かなどを考慮した上で、部屋やキッチン、バス、トイレなどの位置を計画していきます。
▼家具の配置に気を付ける!
間取りに失敗する理由は、簡単です。
間取りを見るときに、「リビングが10畳ね。まあいいかな~」というように畳数を目安に判断したり、「今は6畳の和室だから・・・格段に広い!ソファも置ける!」こんな感じで考えていますよね。これが失敗の元なのです!
もちろん畳数も目安のひとつですが、間取りに家具を配置してみないと何もわからないのです。
「4人家族、おばあちゃんが週末は時々泊りがけで遊びに来る家」であれば、5人で食事のできるダイニングとくつろげるリビングの家具を配置します。
「4人家族、週末はホームパーティで10人以上が家にいることも多い」となると、最低6人掛けのダイニングテーブルを想定し、リビングも椅子やスツールを追加できるかどうかのスペースをチェックします。
間取りに家具配置をしていたら実は回避できることだったのです!
想像と妄想いっぱいの間取りシミュレーションをしてみましょう!
▼家具の大きさに気を付ける!
間取りができたら、設計士またはインテリアコーディネーターに
家具の配置を描き込んでもらいましょう!
その場合、どんなふうに暮らすのかを伝えなければ、
家具の配置は描き込めません。
ココをきちんと伝えることが実は大切なのです!
が!!これでも失敗することがあります…
皆さんはソファの大きさってご存知ですか?一般的には、180cmくらいで3人掛けと表示されていますが、大人3人座ることを想定すると最低200cmは欲しいところです。
そして、ソファの幅よりも重要なのは奥行きです。
くつろぐには、最低85cm以上の奥行きのあるものをおすすめしています。
できれば90cm以上で、座ったときの奥行きの調節はクッションで行うのが理想です。
さて、問題です。描き込むソファの大きさが奥行き65cmの小さなタイプだったらどうなるでしょう?
「間取りに家具を描き込む人が寸法を小さく描いてしまった場合、5人座れる間取りと思っていたのに実際にソファを買って置いてみたら、ドアにぶつかってしまう!」
「思ったよりダイニングスペースが狭かった…!」
などの事態が起きるのです!!
図面上に家具を配置してみないと何もわからないのですが、家具の大きさを間違えると大失敗してしまいます!
いろいろな家づくりのプロの視点から間取りを見ることは大切です。
間取り図に家具を描き込んでもらうとき、
インテリアコーディネーターに相談してみるのもよいのではないでしょうか。
▼スイッチやコンセントの配線プランを考える
スイッチの位置
スイッチの位置はその部屋にどこから入ってくるのか、どんな家具をどの位置に置くのかを考えながら決めていきましょう。
コンセント・配線
コンセント・配線は
使う家電製品を具体的にリストアップして、平面図の中に書き込みましょう。
コンセントの数は少し多めに計画。またコンセントの位置が家具などの裏にならないように計画しましょう。
最も頻繁に使うスイッチやコンセントだから、実際の暮らしを想定して、どの位置に必要か、どれだけあれば十分かをプランの段階でチェックしましょう。
▼収納量・収納の配置について
LDKがある1階には、大型の集中収納が便利。食品や様々な生活備品が1ヶ所にあれば、探す時間が大幅に節約できます。
また、階段下のスペースや床下、壁の厚さを利用したニッチ収納など、空間を有効利用できる収納も上手に取り入れて、片付けやすい家をつくりましょう。
収納量だけでなく、収納の配置をプランの段階で十分にチェック。また、どんどん増えていく大切な家族の思い出やこども達の作品などを、上手にしまっていく収納計画にも配慮してプランを計画しましょう。
▼広さや寸法のチェック
玄関を広くしたつもりでも、雨の日には傘や雨具でいっぱいになってしまう。
友達が数人遊びに来ると、靴を一列に並べられない。
十分な広さを確保した収納スペースのはずが、幅(長さ)が足りない、奥にしまったものが出しづらいなど、家づくりで多くの先輩が失敗しています。
玄関や収納は「広さ」だけでなく、「長さ」の視点からも計画しましょう。
▼動線づくりで暮らしやすさが決まる!?
家事をしながら遊んでいる子供の様子が見えないので心配。キッチンとダイニングが離れているから、配膳や片付けが毎回面倒。お料理をしながら、お洗濯やお風呂の準備をしようとしても、壁が邪魔で遠回り。
おまけに何度も往復して疲れやストレスがたまってしまう。こんな問題を解決するために、動線計画を上手につくりましょう。
家の使いやすさ、暮らしやすさを決める重要なポイントです。
何度も1階と2階を往復したり、無意味は遠回りがない快適な家事設計プランを計画し、使いやすい、暮らしやすいプランをつくりましょう。
▼キッチンの間取りを考えよう
マンションの間取り図にはファミリータイプであっても、幅90cmの食器棚しか置けなかったりする場合が結構あります。
キッチンには他に収納できるスペースはありません。電子レンジやご飯のお釜、ポットなどはどこに置くのでしょうか?ゴミのスペースは??キッチンに必要なものを想定していない。と言ってもいいような間取りです。
では戸建住宅の間取り図ではどうでしょう?
丁寧に冷蔵庫や食器棚が点線で描かれていますが、
大抵小さい寸法で描かれているので「実際にはキッチンと食器棚の間は70cmしかない!」という場合や、
「150cm程度の食器棚スペースだけ」という間取り図も…。
いずれにしても、どんなにキッチンを整理してみてもこれでは生活したら片付かなくて困るだろうな…という間取り図が多いのが現状なのです!
それでは、キッチンに必要なモノとは何でしょうか?
・キッチンセット
(システムキッチンやシンク、調理台、コンロ台などが組み合わさったものも含める)
・食器棚
・冷蔵庫
・食品庫
・ゴミスペース
・配膳スペース
・電子レンジなど調理家電スペース
これらは、大小の違いはあっても家族の人数に関わらず必要なモノやスペースです。
それでは、それらのスペースはどのくらいあれば足りるでしょうか。
1.基本のスペースを幅80~90cm、高さ1.8mを1つの収納スペースと考えます。
2.現状の食器のスペースをもとにスペースを決めます。
3.ゴミスペースを決めます。
(家全体のゴミを分別するならばそのスペースを確保)
4.調理家電を配置します。
5.配膳台のスペースを決めます。
6.食品庫のスペースを決めます。
こんな風に描いてみると、キッチンに置きたいモノの量が客観的にわかると思います。
モノの量を考えないでキッチンの間取りを作ってしまうとふつうは大体、置くところがなくなってしまい、床に置いたり、食器棚の上に載せてしまったり。でも、間取りの中にこれほどの収納スペースを作れることが少ないというのも事実です。
例えば、電子レンジ、オーブンレンジ、ゴミスペース、配膳台など、配膳台は対面式キッチンの場合、調理スペースの前にカウンターを作ることで解決する場合も多いです。
キッチンと収納を含めた間取りを機能面から見ることでムダや不足のないキッチンの全体像がわかります。
「間取り」とキッチンなどの「設備の機能」はバラバラに考えてしまいがちですが、同時進行で考えることが大切なのです。
▼二世帯住宅、何が大事?
二世帯住宅の間取りのパターンは、大きく分けて
・完全分離型
・部分共有型(玄関・水周りが共有など)
・融合型(全部共有)
などと、言われています。
完全分離型 | 部分共有型 | 融合型 |
上下階や左右で分かれている | 玄関はひとつで水周りなど 部分的に共有している |
玄関・水周り・客間など パブリックスペースは全て共有 |
完全分離型ほど満足度が高いという結果があるようです。
「気を遣う」「時間帯の違いでストレスを互いに感じる」「干渉される」「外出しづらい」などが良くある理由です。
しかし、二世帯住宅を考えている皆が完全分離型の間取りをつくれるかとなると話は別なのです。
<理想的な完全分離型が難しい理由の例>
・敷地が狭い
・予算が足りない・お金をかけたくない
・同居を始める時期によっては数年後に介護を視野に入れている
・敷地、資金、親世帯が元気でしばらくは単世帯で暮らせる
など諸条件をクリアしないと、完全分離型間取りを二世帯住宅に取り入れることは難しいのです。
では、部分共有型や融合型になった場合、どこを共有しても何らかの軋轢は生じるものですよね。
その場合オススメなのが「夫婦の寝室は12畳以上にする事」だそう!
ただ寝るだけのスペースなら、ベッドを置く場合では8畳程度の間取りになります。
12畳以上にすると、ベッドスペースのほかにくつろぎのスペースができます。
親世帯が絶対に入ってこない寝室(ココがポイント)にくつろぎのスペースを設けることで、気持ちにゆとりを持つことができるのです。
親しい友人なら招いてお茶を楽しめて、夫婦がゆっくりと2人だけで話のできる場という面でも寝室+くつろぎのスペースは価値があるかもしれません。
▼収納家具がリビングに置けるか?
その共通点とは、リビングやその近くに家族共有の収納家具や収納スペースがない事です。
リビングで使うものと言ったら、雑誌、新聞、オーディオ類、DVD、CD、ゲーム機、薬箱、ハサミなど文具類、アイロン道具等
これらの収納スペースがリビングにあるのが最適なのですが、間取り図ではリビングに収納家具が描かれていない事が殆どです。
住む人が家具を買って収納から?しかし、そのスペースすらない間取り図が多いのです。
現在のリビングで家族が使っている物は、新しい家のリビングでも使うことが多いはずですが、何故リビングに収納スペースが描かれていないのでしょうか?
では、リビングの収納スペースの考え方をどうすればいいのか?
まず、リビングで使いたいものが約160cm×高さ約200cm×奥行き約45cmに納まるかを、図に描いてみて考えます。
家族の人数に関わらず、どの家にも必ずあるモノが殆どです。
つまり、リビングに収納家具や収納スペースのない間取り図はありえないのです!
収納スペースがなければ、その分リビングが広く見えます。
間取り図に描かれた、見せかけの広いリビングにだまされてはいけません。
収納スペースを広く設けられない場合は、テレビボードを兼ねる壁面収納家具が収納力も高く、見た目もスッキリします。
▼洗濯、物干しは意外に大変!?
洗濯物は洗濯機が全自動で洗うからラク!というイメージをお持ちの方が多いのですが意外と「すること」があり、人と物の「移動」がとても多い家事なんです!
戸建住宅では、1階の洗面脱衣室に洗濯機があり、2階のバルコニーが洗濯物干し場所という間取りが多く見受けられます。すると、下図のような動きになります。
重い洗濯物を持って、階段の昇り降りと洗濯物干し場への移動は毎日のことになると年齢に関わらず大変です。
図にしてみると、1階と2階の往復が多いと思いませんか?
物干しのできるバルコニーが2階にあっても、リビングや和室、和室の広縁などに干しているお宅がとても多いんです。見た目はともかく、家事導線という視点から図にしてみると、
そうなんです!
移動距離が少なく、2階の昇り降りは最後にしまうときの1回で済むんです!
ほとんどのことがリビングで済んでしまうのでとても便利!とはいえ、新しい家のリビングにいつも洗濯物があるのは、いかがなものでしょうか?
では、たたむ・アイロンをかける場所を2階に移すとどうでしょう?
たたむ・アイロンをかける場所を2階に移すことで移動距離が少なくなりました!
洗う場所と干す場所が最も近く、同じフロアで洗濯をするには、洗濯から乾燥までを自動でやってくれる「全自動洗濯乾燥機」という選択肢もありますが、
・太陽の光や自然の風に当てたい
・1階の家事スペースに干すことができる
・1階に洗濯物の収納スペースを設けている
など、考え方や暮らし方によって1番良い方法は変わります。
配置によって洗濯物干しの大変さは大きく変わってくるので
家事効率を良くしたいと思ったら、上のように図面に線を描いてみてはいかがでしょうか。