とび職

更新日2022.06.01

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とび職とはどんな職業?
▼ とび職とはどんな職業?
とび職とは建設業において、高い場所で作業をする職人のこと

高所の仕事は、作業の種類により細かく分類されます。

足場鳶
足場鳶は建築現場で必要な足場を設置する職人です。 設置場所の状態や作業性、足場解体時の効率など、他の職人の作業効率を考えて行うことが求められます。

鉄骨鳶
鉄骨鳶は鉄骨構造建築物において、建築図面をもとに骨組を組む職人です。 超高層ビルや高層マンションなど、柱やになる鋼材をクレーンなどで吊り上げ、高所で組み立てていきます。

重量鳶
重量鳶は土木の現場などで桁を両側へかけ渡す作業を行います。また建物内部の重量物(大型機械など)の据付も行います。 足場鳶や鉄骨鳶に比べて専門性が高く、マンションなどの屋上にある空調給排水設備のような人力で運べないものを、クレーンで操作して運び込み、その場で組み立ても行います。

上記3種から更に細かく分類できます。

  • 送電線の保守作業などを生業とする送電鳶
  • 高速道路の高架や橋、鉄塔、ダムなどの土木工事現場に従事する橋梁鳶
  • クレーン車やブルドーザーなどの重量車輌を使い、運搬などの作業を行う機械鳶

他にも解体を専門とする解体業や、銭湯の煙突を掃除する煙突掃除業など、高所で作業する専門の職業は様々あります。

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とび職の歴史
▼ とび職の歴史

とび職は、漢字で「鳶職」と書きます。

とび職の由来は、梁から梁へと飛ぶように移動する職人をタカ科の鳶に喩えたと言われます。他にも鳶口(とびぐち)からきているとも言われています。

※鳶口…穂先はトビのくちばしのような形をした鉄製でできており、長い柄の先に取り付けた道具のこと

鳶口は丸太や原木など木材の移動、運搬、積み上げ、木造建築物の解体や移動に使用されたり、町火消しの消防作業に使われていました。

とび職と呼ばれるようになったのは江戸時代以降です。当時は大工のサポートや、火消しとして活躍していました。

江戸城下町には、宮大工、町大工のような大工職人が数多くおり、高所で梁などの基礎工事を専門とした大工を、とび職と呼ぶようになりました。

  • 宮大工…神社、仏閣の建造などを行う大工
  • 町大工…一軒家の施工など一般的な家屋を作る大工

そして火消しの仕事もこのとび職の専門職であったとされています。

江戸時代は家屋や長屋がすべて木造です。一度火事が起きてしまうと、火は瞬く間に燃え広がりまし た。そのため、江戸時代の火消しの仕事は、火を消すことよりも延焼を最小限に食い止めるというも のでした。 とび職は建築物を作るだけでなく、壊すことにも精通しており、火がまわりそうな家屋とその周辺を 鳶口で壊していきます。このような破壊活動を迅速に行うことで、被害を最小限に抑えていました。

現在のとび職は消防活動を行いませんが、江戸のとび職人は火災から人命を守る職として非常に人気のある職業でした。

とび職の仕事着
▼ とび職の仕事着

とび職と言えば、ダボダボのズボンにゴム製の足袋を履いているイメージが多いと思います。このズボンや足袋には、安全を第一に考えた機能があります。


「足」
地下足袋を装着します。足の指が親指と残りの二股に分かれており、足のつま先に力が入りやすいのが特徴です。足の裏にはゴム底がついており、怪我防止だけでなく裸足感覚で歩きやすく、足元の状態を確認することにも長けています。

また最近では指先を守れる安全靴も増えております。安全靴の先端には鉄板が入っており、指先に重い物が落ちてきて も守ることができます。

「服装」
とび職では鳶服や作業着を「ゴト着」と呼びます。ズボンは「七分」または「ニッカポッカ」と呼ばれています。 幅広のズボンは邪魔になると思われていますが、高所で作業をするとび職は、幅広のズボンで空間や空気の流れを脚に感じ、瞬間的にバランスを取ることができます。 建築の際は、とび職が他の職人よりも先に足場を作ります。高所で足場用の木材や鉄骨などを抱えるため、足元が見えにくく移動には危険が伴います。ダボダボのズボンは何か物が当たりそうな場合でも、ズボンの触れ具合で危険を感知できるセンサーの役割をしてくれます。 また、どのような姿勢でもズボンが突っ張ったりしないため、スムーズに仕事をすることができます。 色は白か濃紺、生地はサージが一般的です。

「その他」
作業をする場所や、内容、時期により違いはありますが、汗を拭う タオルや着替えの下着も必要です。夏場は水分や塩分を補給できる ものを用意します。冬場は防寒対策の準備が必要です。 他にも安全を考慮し、ヘルメットや安全帯、リストバンド、軍手、作業用の道具を入れる腰袋などもあります。

時代と共にとび職の服装は変化しています。安全を第一に考えられており、様々な機能がつくようになりました。

とび職になるには
▼ とび職になるには

とび職の仕事は誰でも簡単にできるわけではありません。学歴は必 要ありませんが、経験と能力、技術が必要とされる実力重視の業界です。
また法律により、18歳未満は高所作業が禁止されています。18歳までは高所作業を伴わない運搬などの業務を行うことになります。

とび職で心得ておきたいポイント
  • 高所でも平常心でいられる
  • 環境に左右されず、集中力を持続することができる
  • 体力がある
  • コミュニケーション能力がある
  • 判断力がある

これら全てが該当しないととび職に就くことができないわけではありませんが、現場では危険が伴ったり、現場監督や大工とのやりとりもあります。とび職を目指すのであれば、身に付けておいた方が良いでしょう。

とび職は、作業により取得すべき資格や講習が異なります。下記はとび職のなかでも代表的な講習です。

「玉掛け技能講習」

制限荷重が1トン以上の揚貨装置又はつり上げ荷重が1トン以上のクレーン、移動式クレーン若しくはデリックの玉掛の業務(労働安全衛生法 第61条-1より政令第20条-16より)。 ※労働安全衛生規則第83条 玉掛け技能講習規程(労働省告示第119号)に基づく講習です

「足場の組立て等作業主任者技能講習」

「つり足場(ゴンドラのつり足場を除く、以下同じ)、張出し足場又は高さが5m以上の構造の足場の組立て、解体又は変更の作業」を行う場合は、事業主は足場の組立て等作業主任者技能講習を修了した者のうちから作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮を行わせなければならない(労働安全衛生法 第14条 施行令第6条第15号)。 ※労働安全衛生規則第83条 足場の組立て等作業主任者技能講習規程(労働省告示第109号)に基づく講習です

「建築物等の鉄骨の組立等作業主任者技能講習」

建築物の骨組み又は塔であって、金属製の部材により構成されるもの(その高さが5m以上であるものに限る)の組立て、解体又は変更の作業を行う場合、事業主は当講習修了者の中から作業主任者を選任しなければならない(労働安全衛生法第14条 同施行令第6条第15号-2)。 ※労働安全衛生規則第83条 建築物等の鉄骨の組立等作業主任者技能講習規定(労働省告示第120号)に基づく講習です

「とび技能士」

都道府県職業能力開発協会が実施する、とびに関する学科及び実技試験に合格した者を言います。とび作業の段取り、仮設の建設物の組立てや解体、掘削、土止めや地業など、とびに関する能力を認定する国家資格です。 等級には1級~3級まであり、それぞれ上級技能者、中級技能者、初級技能者が通常有すべき技能の程度と位置づけられています。

  • 丸太又は鋼管を使用して真束(しんづか)小屋組みの作業を行う
  • そりにのせた重量物の運搬の作業を行う
  • 3種類の重量物の目測の作業を行う

  • 丸太又は鋼管を使用して片流れ小屋組の作業を行う
  • 3種類の重量物の目測の作業を行う

  • 枠組、単管及び木製足場板を使用して、枠組応用登り桟橋の組立てを行う

自分が必要な講習を受けられるように、あらかじめ調べておきましょう。
下記バナーから厚生労働省のページへ移動できます。

※出典:厚生労働省ホームページ 資格・試験情報

また資格内容の問い合わせ先は、各都道府県労働局の労働基準部安全課、労働衛生課又は安全衛生課です。

講習については各ページの安全衛生関係の技能講習のページを確認しましょう。

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